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事務所サイトをリニューアルしました。


私の事務所サイトをリニューアル致しました。

http://www.officekan.com/

過去、こちらに投稿した記事も加筆補正した上掲載しております。

そちらもご参考にしていただければ幸いです。






行政書士 林 幹 国際法務事務所



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入管行政の実務と理論
# by kan-officekan | 2008-09-25 16:30 | 入管法一般
「企業内転勤」の対象


実務では、言うまでもなく「企業内転勤」は、本店・支店間といった同一会社内の異動のみならず、親会社・子会社間の異動、それらから関連会社への異動といった系列会社間の異動も可能とされています。

私は、条文解釈としては、本来「企業内転勤」の対象は、同一会社間の異動のみだと最近思うに至りました。



出入国管理及び難民認定法別表第二は、「企業内転勤」の活動内容は次ぎのように規定しています。

「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う入管別表第二の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」

すなわち、「企業内転勤」とは、「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関」の「外国にある事業所の職員」が「本邦にある事業所」に期間を定めて転勤」することなのです。


ここで問題となるのは、転勤先となる「本邦にある事業所」の解釈です。

次ぎの二つの解釈が可能です。

①その公私の機関の「本邦にある事業所」

②その公私の機関の「本邦にある事業所」に限らず、広く「本邦にある事業所」


②のように解釈すれば、広く行われている入管実務のように、親会社・子会社間の異動、それらから関連会社への異動といった系列会社間の異動も可能となります。

しかし、「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関」という文言からすれば、②のように解釈することは無理があると思います。

あえて転勤する外国人を派遣する「公私の機関」に「本邦に本店、支店その他の事業所のある」ことを求めている以上、転勤先となるのは、その公私の機関の「本邦にある事業所」と読むのが素直な解釈だと思います。


また「企業内転勤」は、同一会社内の異動を対象とする、と理解することは、下記の命題と整合性を有します。

②「企業内転勤」も「本邦の公私の機関との契約」が必要である。
(平成16年2月17日事務連絡の立場)

③日本国に支店等を有する外国法人も「本邦の公私の機関」である。
(平成16年2月17日事務連絡の立場)


私は、以前、「平成16年2月17日事務連絡」を批判しましたが、③の解釈には文言上疑義を有するものの、「企業内転勤」「技術」「人文知識・国際業務」の法律上の整合性を保とうとする姿勢には共感がもてます。

しかし、③を除き、入管実務と異なるところに入管行政の問題点があります。③についても、実務で採用されたのは比較的最近のことです。






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入管行政の実務と理論
# by kan-officekan | 2008-09-07 21:04 | 企業内転勤
「短期滞在」における就労活動


 在留資格「短期滞在」での本邦で就労活動を行うことは可能でしょうか?

 この点、入管法別表第1の3は、「短期滞在」の活動類型を次のとおり規定しています。

 「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」

 ここから「短期滞在」に該当するためには、下記①②が要件となることが分かります。

 ①本邦に短期間滞在して行う活動であること(注1)

 ②観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動であること

 この点、②の「業務連絡」「その他これらに類似する活動」(注2)は、いわゆる短期商用目的とされている活動ですが、本邦にてこれら活動を行う外国人は、何らかの報酬を派遣会社等より受けており、就労するために本邦に滞在する者といえます(けして無報酬で活動するものではありません)。

 すなわち、「短期滞在」自体、一定の就労活動をその活動類型として想定しているといえます。その意味で、在留資格「短期滞在」での本邦で就労活動を行うことは可能といえます(もちろん、当該活動が「短期滞在」の該当性を有する限り)。

 この点、これら外国人は、外国にて報酬を受けているものの(所属機関から報酬が支給されるものの)、本邦にて報酬を受けてはいないからこそ、無報酬といえ、その活動が「短期滞在」に該当するとの理解も実務上有力でした。

 しかし、国際金融手段の発達した今日において、外国にて報酬を受けることと、本邦にて報酬を受けることとの間に差異はあるでしょうか?外国の本人口座に報酬が入金されても、本邦で本人が引き出せる時代です。

 重要なのは、「所得の源泉が本邦かどうか(役務提供が本邦内で行われたかどうか)」であり、報酬の支払い場所、支払い機関ではありません(注3)。


 ところで、「短期滞在」者が「収入を伴う事業を運営する活動」又は「報酬を受ける活動」を行った場合、「資格外活動」に該当し(入管法19条1項2号)それら活動が許容されないばかりか(注4)、それら活動を「専ら」行っている場合には刑事罰の対象となります(入管法70条1項4号。さらに24条4号イ参照)。

 そこで、

①「短期滞在」には、短期商用のように、報酬を受けて行う活動類型も該当すること。

②「短期滞在」者は、入管法19条1項2号の「報酬を受ける活動」を行ってはならないこと。

 を両立させるためには、

 当該外国人の活動が「業務連絡」「その他これらに類似する活動」として「短期滞在」に該当する場合には、たとえそれが報酬を受けて本邦で活動するものであっても(報酬を受けるのが常態)、入管法19条1項2号所定の「報酬を受ける活動」には該当しないと解釈することになると私は考えます(注5)。


(注1)

 入管法規則別表第2は、「短期滞在」の在留期間を「90日、30日又は15日」と規定しています。実務上、相当な理由があれば在留期間の更新が許可されることもあります。

(注2)

 「商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査」等が「その他これらに類似する活動」に該当するとされています(2007年8月時点の「入国・在留審査要領「短期滞在」部分)。

(注3)

 入国・在留審査要領「第12編第2章第1節」は、「役務提供が本邦内で行われ、その対価として給付を受けている場合は、対価を支給する機関が本邦内にあるか否か、また、本邦内で支給するか否かに関わらず、『報酬を受ける活動』となる。」としてしています。

(注4)

 「短期滞在」者が資格外活動を行っても、それが「専ら」行うものでなければ、刑事罰ないし退去強制の対象とはなりません。しかし、次回上陸の申請時、「申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のもの」と判断される可能性はあります(入管法7条1項2号)。

(注5)

 「短期滞在」に該当する活動といえども、何らかの報酬を受ければ、入管法19条1項2号所定の「報酬を受ける活動」に該当し、ただ、活動が「短期滞在」に該当する以上、その違法性が阻却されるという解釈も成り立つ余地はありますが、いささか迂遠な解釈であり、また「短期滞在」者は「報酬を受ける活動」をしてはならない旨規定する入管法19条1項2号所定の文言上無理があると思われます。







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入管行政の実務と理論
# by kan-officekan | 2008-02-03 14:05 | 短期滞在
「本邦に事務所、事業所を有する外国法人」の意義(射程)


 在留資格「研究」「技術」「人文知識・国際業務」及び「技能」「特定活動(特定研究活動OR特定情報処理活動の場合)」は、当該外国人の活動が資格該当性を有するためには、当該外国人と「本邦の公私の機関との契約」が必要としていますが、

 この点、「技術」「特定活動(特定研究活動OR特定情報処理活動の場合)」」に係る入国在留審査要領は、 「『機関』には、本邦に事務所、事業所を有する外国法人も含まれる。」と記載しています。

 では、「本邦に事務所、事業所を有する外国法人」とは何を意味するのでしょうか?下記1.から3.のいずれもこれに該当するのでしょうか?

 1.本邦に駐在員事務所を有する外国法人

 2.本邦に日本支店を有する外国法人

 3.本邦に日本法人(小会社)を有する外国法人(親会社)

 実務(審査の現場)では、1.~3.のいずれも許可例があります。

 しかし、3.については地方入管にて許可例はあるものの法務省としては否定的のようです(文書化された回答ではありませんが)。

 「駐在員事務所」や「日本支店」は法人格がないので、契約主体になり得ません。よって、「駐在員事務所」や「日本支店」に勤務する者を「技術」とするためには、「外国法人」そのものを「機関」としなければならなくなります(注1)(注2)。

 これに対して、「日本法人(小会社」」は、資本関係、人的関係があっても、あくまでも「外国法人(親会社)」とは別会社であり(親と子が別人なのと同様)、直接「日本法人(小会社)」と「契約」することが可能であり、「外国法人(親会社)」そのものを「機関」として扱う必要性は「駐在員事務所」「日本支店」のみ本邦にある外国法人に比べ少ないかもしれません(注3)。

 しかし、駐在員事務所を本邦に有する外国法人が「機関」に該当し、より安定的な「事務所、事業所」(日本法人)を本邦に有する外国法人が「機関」に該当しないとの判断には違和感を感じるのも事実です。


(注1)
 
 「機関」は法人だけでなく、個人も該当するので(実務上レアケースですが)、「駐在員事務所代表」個人、「日本支店長」個人との「契約」によって「技術」の資格該当性を充足するという方法もありえます。

(注2)

 そもそも「本店支店間」の転勤は、「企業内転勤」のみ可能というのが従来の運用方法でした。しかし、「企業内転勤」では、直前1年以上の在職歴が必要となり、比較的最近入社した者を派遣できないという問題がありました。そこで、規制改革会議等の要請で「技術」「人文知識・国際業務」にも該当し得るという運用に変更されました。

(注3)

 しかし、日本法人を有する場合であっても、外国法人そのものに採用された外国人は、労務管理の都合上、外国法人との使用被使用関係を維持したまま、本邦で活動することを望む外国法人(大手企業の場合は特に)も少なくありません。







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# by kan-officekan | 2008-02-01 05:54 | 就労一般
「本邦の公私の機関」と外国会社の日本支店


 在留資格「研究」「技術」「人文知識・国際業務」及び「技能」に当該外国人の活動が該当するためには、「本邦の公私の機関との契約」が必要となります(注1)。

 では、「本邦の公私の機関」に外国会社の日本支店は該当するでしょうか?外国人は、外国会社の日本支店と雇用契約等の契約を締結し、本邦にて活動することになるのでしょうか?

 私は、「機関との契約」とある以上、権利義務の統一的な帰属点たる地位・資格、すなわち法人格が必要であり、外国会社そのものと異なり、法人格を有しない外国会社の支店は「機関」に該当しないと解します(注2)。 

 しかし、この点、法務省入国管理局は、外国会社の支店も「機関」に該当すると理解していました(注3)。

 私は、電子内容証明郵便で提出した平成16年10月16日付け法務省入国管理局長宛意見書にて、上記法務省解釈に対する疑義を述べました。

 手元にある入国在留審査要領では、平成19年3月以降の要領の「技術」「特定活動」の該当部分がは次のとおり修正されています(注4)。

 「『機関』には、本邦に事務所、事業所を有する外国法人も含まれる。」
 (第12編第14節「技術」の部分より)

 もっとも、

 第12編第2章第1節「就労資格関係全般事項」の部分は、従前どおり、「『機関』には、外国法人の支店、支社等も含まれる。」とし、

 第12節「研究」、第15節「人文知識・国際業務」等の部分も、「『機関』には、独立した機関として活動する外国法人の支店・支社等も含まれる。」としたままです。

 現場の審査官が適正に入管行政を行うためにも早期の改定が望まれます。

 なお、「機関」に日本支店は含まれず、あくまでも「外国会社」そのものを「機関」とするとしても、外国法に基づき、本邦外にその本社機能を置く組織を「本邦の機関」とみることができるのかという問題は残ります。本邦に事務所、事業所を有する点で本邦と物理的な接点はありますが。


(注1)

 「企業内転勤」も「本邦の公私の機関との契約」が必要とする事務連絡(通達)もあります。「企業内転勤」を法の規定に従って厳格に解釈する限り、私も必要と考えます。

 もっとも、入管実務では、「企業内転勤」では「不要」とされています。「企業内転勤」の法律上の文言の改正が望まれます。

(注2)

 日本支店の代表者(「日本における代表者」)が、外国会社を代表し、契約締結を行うこと自体は可能です。その場合、その効果は、日本支店ではなく、外国会社そのものに帰属します。

(注3)

 かつて、法務省の入国在留審査要領には、「『機関』に外国法人の支店、支社等も含まれる。」と記載されていました(上記のとおり、現在でも一部そのままの記載が残っており、いまだ実務では徹底されていません)。
 
(注4)

 実際にいつごろ、修正されたのかは不明です。







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# by kan-officekan | 2008-01-29 11:12 | 就労一般